「ある北朝鮮テロリストの生と死/証言ラングーン事件」発売、韓国で反響を呼んだ問題作

集英社は、韓国で大きな反響を呼んだ問題作となる「ある北朝鮮テロリストの生と死――証言・ラングーン事件」(著者:羅鐘一/訳者:永野慎一郎)を2021年5月17日に発売する。現代韓国を代表する政治学者・羅(ラ)鐘(ジヨン)一(イル)氏が、北朝鮮実行犯カン・ミンチョルの証言をはじめ、多くの周辺人物の証言、膨大な量の関連資料をもとに事件の全貌を描いたノンフィクションだ。
販売価格は968円(税込)

事件の裏側には、南北朝鮮における複雑な対立と矛盾の歴史、そして様々な人物たちの思惑があった。北朝鮮が過激な行動に走る背景にはどのような事情があるのか。カン・ミンチョルが属した北朝鮮特殊工作部隊の想像を絶する実態とは、いかなるものか。
そして、テロリストたちは凄惨な事件をどのように引き起こしたのか――。
忘れられた歴史の記憶を掘り起こし、数々の疑問を解き明かす、韓国で大きな反響を呼んだ問題作の日本語版が刊行される。

▽著者プロフィール
羅 鐘一(ラ ジョンイル)
1940年韓国ソウル生まれ。英国ケンブリッジ大学Ph.D.。慶熙大学教授、国家情報院海外・北朝鮮担当次長、大統領秘書室国家安保補佐官、国家安全保障会議常任委員長、駐英国大使、駐日本国大使、又石大学校総長など、数々の要職を歴任。現在、漢陽大学、国防大学、嘉泉大学碩座教授。著書は『現代西欧政治論』『終わらない戦争』『人と政治』『羅鍾一の政治の話』『朝鮮戦争』『張成沢の道』など多数。

▽主な目次
プロローグ ビルマの聖地アウンサン廟で何が起きたか
第一章 南北分断の悲劇
第二章 光州民主化運動とラングーン事件
第三章 「菊花作戦」と全斗煥大統領のビルマ訪問
第四章 歴史的な場所、アウンサン廟の爆破事件
第五章 テロリストたちの運命
第六章 祖国に捨てられたテロリストたち
第七章 テロリスト、カン・ミンチョルの生と死
第八章 生と死の狭間で苦悩したカン・ミンチョル
エピローグ 忘れられたテロリストの死を哀悼して
訳者あとがき

▽推薦文:姜尚中・東京大学名誉教授
本書の主人公は、凄惨な事件を引き起こしたテロリストである。しかし、その正体は非人道国家により実行犯に仕立て上げられた、一人の青年に過ぎない。
祖国によって見捨てられ、異国の刑務所で寂しく生涯を終えたこの悲運のテロリストをめぐる物語は、国家がもつ暴力性と不条理を見事な形で浮き彫りにする。
「個人の尊厳とは何か?」「国家とはいかなるものか?」といった問いを抱えた、すべての読者に手に取って欲しい名著である。

(文/コリアコリア編集部、写真/集英社広報資料より)

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