「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者、最新作「ミカンの味」発売

朝日新聞出版は、「82年生まれ、キム・ジヨン」で世界中にフェミニズム文学のムーブメントを起こした韓国人作家チョ・ナムジュの最新作「ミカンの味」を発売した。主人公は4人の女子中学生。彼女たちが交わした約束をめぐる展開を軸に、それぞれの生い立ちや現在を交互に語る形で展開する。

フェミニズム文学の旗手が描くシスターフッド小説だ。少女たちを優しく見守るかのような語り口は、いつかの自分の姿に重なりうずく心を優しく包み込んでくれる。

言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを摑もうともがき、やがて少女たちは連帯していく。危うさもはらんだ彼女たちの連帯の姿を、社会学者の春木育美さんは<目的が違ったとしても、自分の意思と反する抑圧に抗いたいという思いに共感することはできる。そして、「仲間」とともに「連帯」し、励まし合うことで、より良い方向へと一歩前進することができるかもしれない。

▽あらすじ
中学校の映画部で仲良くなったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」。中学3年生になる直前、彼女たちは旅先の済州島で衝動的にある約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束をめぐって、次々と事件が起こるが――。

▽著者プロフィール
著 チョ・ナムジュ 1978年、韓国・ソウル生まれ。梨花女子大学社会学科卒。卒業後は放送作家として社会派の「PD 手帳」「生放送・今日の朝」など時事・教養番組を10年間担当した。2011年、長編小説『耳をすませば』で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。16年に発表した『82年生まれ、キム・ジヨン』は韓国で130万部を超える大ベストセラーになり、25の国と地域で翻訳されている。

▽訳・矢島暁子(やじま・あきこ)
学習院大学文学部卒。高麗大学大学院国語国文学科修士課程で国語学を専攻。訳書に、ソン・ウォンピョン『アーモンド』(祥伝社、2020年本屋大賞翻訳小説部門第一位)、キム・エランほか『目の眩んだ者たちの国家』(新泉社)、イ・ギュテ『韓国人のこころとくらし』(彩流社)、洪宗善ほか『世界の中のハングル』(三省堂)がある。

(文/コリアコリア編集部、写真/朝日新聞出版広報資料より)

#82年生まれ、キム・ジヨン

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