SKテレコム(SK텔레콤)は2020年11月、ソウル大学医学部と共同で開発したAIを活用した音声ベースの認知症スクリーニングプログラムの商用化に向けた実証実験を開始すると発表した。両社は、2019年にAIを活用した社会的問題の解決という共通の目標に向け、研究を開始した。2020年11月から、ソウル大学病院と認知症安心センターで同プログラムを検証し、認知症スクリーニングの精度を高めていく計画を打ち出している。

開発したプログラムは、AIが人の声を聞いて、認知症かどうかを判別するもの。声帯で作られた人の声は増幅されたり減衰されるが、認知症の患者には特性があり、これらの音声の特徴をAIが分析し、認知症かどうかを選別することができる。
認知症は、日常生活に支障が出る前数年から記憶や言語、判断力など、さまざまな認知機能が低下するため、早期発見が重要だ。保健所や病院を訪問しない非対面で認知症を選別することができ、診断コストの削減が可能。アプリ形式で開発されたため、医療スタッフと患者、家族の負担なしに定期的、反復的に容易に入手できるというメリットもある。
SKテレコムのキム・ユン(김윤)CTOは、「AI技術を大学医学部と共同研究し、医療プログラムにおいて商用化に向けた検証を進めるのはAIヘルスケア分野の大きな進展と言える」とコメントした。ソウル大学医学部のイ・ジュンヨン(이준영)教授は、「認知症を患っている高齢者の言葉や声に焦点を当てて、これを定量化して診断するのは容易ではなかった。音声ベースの認知症診断法は、認知症の早期診断に大きな期待がかかっている」と話した。
更に両社は、文法組成や言語繰り返しなど認知症患者の言語的特徴や顔を認識し、心拍数および血圧などの追加情報を活用したAI認知症スクリーニングプログラムも2021年に開始する方針を示している。
韓国では、認知症患者数と認知症に起因する社会的費用が毎年増加している。患者数は2019年の78.8万人から2030年には136.1万人に増えると予想されている。認知症に伴う管理コストも2019年の16.3兆ウォンから2030年には33.7兆ウォンまで増えると見込まれている。今回開発したプログラムが普及した場合、認知症の早期診断が有効になる他、認知症に起因する社会的コストを削減することにも大きく寄与する可能性があるという。
(文/コリアコリア編集部、写真/SKテレコム広報資料より)